和楽器に一見して見えないかもしれませんが、戦前に作られた楽器で「オークラウロ」という楽器があります。これは、尺八をベースにした金属管にフルートのキーシステムを取り付けた改良楽器です。

開発した人物もとても興味深いのですが、そのことはいったん置いておいて、今日は感じたことだけを書きたいと思います。
先日、大学の授業で学生たちにオークラウロの音色を動画で聞いてもらいました。こちらの動画です。
学生の皆さんに感想を書いてもらいましたが、その中で目を引いたのが、
- 聞きやすい
- 親しみやすい
- 新鮮さがあまりない
という意見・感想でした。
「聞きやすい」「親しみやすい」という感想が多かったのですが、「新鮮さがあまりない」という感想にどきりとしました。というのも、オークラウロの歴史に重なるところがあったからです。
オークラウロは、尺八でもありフルートでもある、そして、尺八でもなくフルートでもないという矛盾した側面を持ちます。戦前の一時期に開発者の熱意と努力によって盛り上がったものの、戦争の激化とともに忘れられていき、戦後は長く、博物館でのみ見られる楽器となっていました。
戦前に十分に普及できなかった理由の一つが、楽器としてどちら付かずのマイナスイメージが先行したことだったと言われています。現代の20代の学生が初めて聞いて、やはりどちらの要素もあって新鮮味がないと感じるというのは、実は戦前の人々の感想と一致しているように感じるのです。
しかしながら、戦前と現代は音楽の状況が違います。戦前にはマイナスに思われたオークラウロの特質は、現代ではメリットとして機能しそうだと思われます。
学生の感想にあった「聞きやすい」「親しみやすい」という言葉は、伝統音楽を初めて聴く学生の一つの指標としてよく用いられる表現です。伝統楽器も、親しみのある楽曲が演奏されていれば興味を持ちやすく、音色がなじみのある聞きやすいものであれば入り込みやすくなる、という傾向がみられます。
そうなると、和洋の要素を併せ持つオークラウロは、初めて聞く人にも親しみやすく、好まれる性質を備えていることになります。そして、現代は、オークラウロを精力的に演奏し、普及に努める演奏家が生まれています。これからもオークラウロの作品・演奏が増えていき、耳にする人が増えれば、戦後のような状態に戻ることはないでしょう。
開発者の発想は、およそ百年前に時代を先取りしていた感がありますね。これからも毎年、学生に楽器を紹介しつつ、オークラウロの行末を見守っていきたいです。



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