毎年秋になると開催される正倉院展。美しい宝物の陳列に毎年の開催を楽しみにしている方も多いと思います。今年の出品の中には、初公開の琵琶があると聞き、早速、正倉院の琵琶について調べてみました。
正倉院展とは
正倉院展は、奈良国立博物館が10月から11月にかけて開催し、正倉院宝庫に収められている宝物の一部が一般公開される展覧会です。
正倉院展の歴史は、戦後すぐの昭和21年(1946年)に第1回が奈良帝室博物館で行われたことに始まります。1949年、1959年、1981年の3回が東京で開催され、それ以外は奈良で開催されてきました。2023年は第75回として、10月28日(土)から11月13日(月)まで、奈良国立博物館で予定されています。
正倉院の宝物は、東大寺の大仏に献納された聖武天皇の遺品、東大寺の法要で使われた品、東大寺造営に関連する品の3種類があり、その他に儀式で使われた品や武具などもあります。
このような正倉院の宝物は、毎年秋に点検が行われます。そのため、その時期に合わせて宝物の一部を奈良国立博物館に展示し、公開します。研究成果の得られた品や話題性のある品が選ばれ、順番に出品されるので、どの年に行っても全体像が分かり、かつ前年とは違う品を目にすることができます。
正倉院展について、詳しくは正倉院展のホームページをご覧ください。
正倉院の琵琶
さて、正倉院には琵琶が数面ありますが、今回公開される琵琶は、一般公開が初めてという品です。
まず、どのような琵琶が収められているのか確認しておきましょう。
宮内庁の「正倉院宝物検索」を参照しました。
螺鈿紫檀五弦琵琶(北倉29)
最も有名なのが、装飾の豪華な「螺鈿紫檀五弦琵琶」です。螺鈿の装飾があり、素材が紫檀である五弦の琵琶です。
現在の日本の琵琶は、四弦が基本なので、五弦というのは珍しい琵琶です。また、この琵琶は、棹から糸巻きにかけてまっすぐであることも特徴です。現在の日本の琵琶は、糸巻きが後ろに直角に折れ曲がった曲頸であるので、直頸であることは珍しい点です。
この琵琶の特色は、何といっても豪華な装飾にあります。表面、裏面、棹までふんだんに螺鈿を使用し、1200年以上たっても色あせない美しさを保っています。
螺鈿紫檀琵琶(北倉28)
こちらも螺鈿が豪華ですが、四弦で曲頸の琵琶です。装飾は裏面にのみ施され、表面は質素です。表面に螺鈿の装飾がないので、実用が可能だったことでしょう。
楓蘇芳染螺鈿槽琵琶 第1号(南倉101)
四弦で曲頸の琵琶です。裏面は螺鈿で豪華な装飾が施されています。側面にも螺鈿が用いられています。表面には革が張られ、白象に乗って楽器を奏でる人物が描かれています。
この琵琶では、螺鈿にあわび貝が用いられており、日本製の可能性が指摘されています。逆にいうと、この琵琶以外は中国製ということでしょうか。
今回の正倉院展には、この楓蘇芳染螺鈿槽琵琶(かえですおうぞめらでんそうのびわ)が初公開されます。
紫檀木画槽琵琶 第2号(南倉101)
四弦で曲頸の琵琶です。木画とは、色の異なる素材の小片を木地に彫り込む技法だそうです。この琵琶には、象牙、鹿角、紫檀、黄楊木、檳榔樹、錫が用いられています。側面には螺鈿が施され、表面に張られた革には騎馬狩猟の人物が描かれています。
紫檀木画槽琵琶 第3号(南倉101)
四弦で曲頸の琵琶です。この琵琶には、裏面に象牙や鹿角、紫檀、黒柿、黄楊木が使用された木画が全面に施されています。側面にも螺鈿の装飾があります。表面には革が張られており、絵柄は不明ですが、彩絵が施されています。
紫檀槽琵琶 第4号(南倉101)
四弦で曲頸の琵琶です。表面に張られた革には「水鳥に襲いかかろうとする猛禽が描かれている」そうです。側面に装飾はなく、正倉院の6面の琵琶の中では最も質素な印象を受けます。
まとめ
正倉院には約9000点の品々があるそうです。そのうち琵琶は6点。今回は楓蘇芳染螺鈿槽琵琶が初公開されます。ホームページによると、次のように説明されていました。
「楓蘇芳染螺鈿槽琵琶」(螺鈿飾りの四絃琵琶)は、槽に施されたきらびやかな螺鈿の装飾が目を惹く一方、撥ばち受うけには中国・盛唐期の画風にもとづく山水画が描かれ、奈良時代の異国趣味を濃厚に示しています。
https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/special_exhibition/202310_shosoin/
写真が載せられないのが残念ですが、温かみのある雰囲気の琵琶です。約2週間の短い展示期間ではありますが、ご都合が合えばぜひ実物に対面してみてください。



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